道なき道をあくなき
思考で切り開け
鈴木優の秘めたる切り札・
大明槓
文・東川亮【金曜担当ライター】2023年12月1日
U-NEXT Pirates、鈴木優は語る。
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「対局中、すごく難しい局面とか、苦しい場面も多々あるのが麻雀というゲーム。
そういったときに思考を止めず、牌と向き合って、楽な道を選ばないようにしっかりと考え抜くことがポリシーです」
麻雀が思考のゲームである以上、考えることは常についてまわる。そして、深く考え抜くことで見える活路がある。それを示してくれたのが、大和証券Mリーグ、12月1日の第1試合だった。
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第1試合
東家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
南家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
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東2局、親の瀬戸熊のリーチを受けた場面。
を鳴いていた優は一発目に
をつかみ、現物の
を切ってターツを壊した。
ドラ1、2000点の1シャンテンで親に押し返すのは、ただリスクを負うだけの行為に過ぎない。
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しかし現物を切るなかでテンパイにたどり着くと、通っていないをスッと押した。終盤ながら通っていないスジもある程度残っており、何より先ほどと違って、出アガリできるのが大きい。
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山には互いのアガリ牌が残り1枚ずつだったが、瀬戸熊がをつかみ、優が3900のアガリを決める。
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南2局、優に選択。
形上はテンパイで、を切ればイーペーコー赤の
待ち、
か
を切ればチートイツ、いずれも役ありに受けられる。リーチかダマテンか、あるいはソーズを切って横伸びに構えることも考えられた。うまくいけばリャンペーコーまである。
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優の選択は待ちでのリーチだった。シンプルな見た目枚数でこの待ちを選んだということだが、待ち選択以上にこの局面では「リーチ」と言うことが重要だったように思われる。
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このとき、醍醐はをポンしての
待ちでテンパイをしていたが、リーチの一発目に無スジの
をつかんでいったんテンパイを崩す。
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を押していれば、次巡のツモ
でこの局は決着だった。優がリーチと言っていなければ、醍醐は
を切り、アガリを手にしていたはずだ。トップ目とはいえ、優のリーチに飛び込んだらトップはおろか2着も危うくなる。優としては、そのような心理状態を見越してのリーチだったのだろう。
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親の瀬戸熊も、1シャンテンから無理はしなかった。ラス目ではあるが前局の満貫ツモでほぼ並びまで巻き返しており、ここで大きく失点すればまた状況は厳しくなる。
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優は相手の心理を読むことに長けた打ち手だ。リーチの効力をたくみに使って相手の手を曲げさせ、
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自身のツモアガリでフィニッシュ。リーチツモイーペーコー赤、2000-4000の1本場で醍醐に肉薄する。
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だが、そこに待ったをかけたのは、現在好調のKADOKAWAサクラナイツ・岡田。
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親番でツモイーペーコードラ3赤という強烈な6000オールを決めて、先を行く醍醐、優をまとめてかわしてトップ目に立った。
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そして迎えたオーラス1本場。優は岡田まで9600点差、逆転で単独トップになるには満貫ツモか、岡田からの5200以上の直撃が必要となる。
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優の手はいずれもオタ風ながら東がトイツ、が暗刻。ソーズが多く、ホンイツで打点を狙うのが基本方針になりそうだ。
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方針にツモもかみ合う。が重なりトイツが3つ、ホンイツにトイトイを絡めて満貫というルートが見えてきた。
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をポン。一手進むが、リーチが使えなくなり、ホンイツも門前の3翻から2翻になる。あと2翻は役牌を重ねるか赤を引くか、トイトイで仕上げきるか。ただ、いずれにしても満貫ではツモるか直撃を取らなければ逆転できない。
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捨て牌が三段目に差し掛かろうというタイミングで、と
のシャンポン待ちテンパイになった。ただ、赤も引けずトイトイにもならなかった。
を岡田から出アガリできれば5200は5500、逆転条件をクリアできるのだが、この状況で岡田が生牌の
を切ってくるとは考えにくい。ツモアガリでは届かず、逆転のルートは閉ざされたかに思われた。
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