『手牌に価値を吹き込む
打ち手』堀慎吾 VS
『卓上のマジシャン』園田賢
勝つのはどっちだ!?
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2021年2月25日
チームランキングの右に、80/90が並んだ。
泣いても笑っても、レギュラーシーズン残り10戦。
セミファイナルに進出可能なのは6チーム。ボーダーラインを巡って、観る我々も感情の起伏の激しい日々が続いている。
2月25日 第1試合
南家 堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家 茅森早香(セガサミーフェニックス)
東1局に5200をアガった茅森。続く東2局に自風のを仕掛けての追加点を狙う。しかし、をポンしたときに出たから、ドラのトイツが濃厚。待ちはマンズだと全員が読み筋に入れてしっかりと対応。この局は流局となる。
東3局
堀が切った、
このに、解説の寿人が「強くいきましたよ…!」と声を上げる。
中盤に入ってもを浮かせ打つ堀。二度受けのは2枚切れで、やや枚数的に心もとない。が伸びてのターツ切り替えを狙った一打だ。ここで厚く構えられるのは、やが全員に対して比較的安全であるという場況的判断もあってのことだろう。
次巡を引いてテンパイ。リーチ宣言牌までを引っ張ったことで、ソウズエリアの危険度が上がっているのにも注目だ。
1年目にしてもうおなじみとなった、この上なく優しいツモモーション。
リーチツモピンフイーペーコー赤、2000-4000のツモアガリとなった。
東4局の堀、2巡目、
切ったのは。トップ目なので、自風のを使ったアガリがメインの手組だ。ブロックが足りていないので数牌を残して字牌を打つ。
次巡、ツモ。イーシャンテンに。ここでもとのくっつきを狙って打。
さらに次の手番で、
ツモ。
堀が切ったのは、
だった。この打牌の意図は次の巡目に明かされる。
残したを重ねて、
堀は静かにメンツを破壊した。ホンイツへの一気寄せだ。
役牌が2トイツ。リャンシャンテンに戻しても、5巡目ならば十分に間に合わせられるという判断だ。を切っての1300点コースと比べて、満貫まで見える打点的価値が大きい。
トップ目とはいえまだまだ微差。他家を突き放すべく、堀はピンズを放っていった。
この打ち筋は、我々がで不特定多数と打つ時にも非常に有効な戦術だ。堀はアガリの可能性がある中での、手牌の最高打点を逃さない。
やや話が脱線するが、先日YouTubeの生放送の中で「初心者が一番参考にすべきMリーガーは?」という質問を受けて、私は堀選手と答えた。
もちろんさまざまな意見があると思うし、勉強になる選手も多いのだが、堀の「手作りによって手牌価値を上げてギリギリまで踏み込んでいく」「手に価値がなければ中途半端な打牌はせずにきっちりオリる」という戦い方は、Mリーグだけでなく我々が打つさまざまな麻雀のフィールドでも非常に有効だ。
堀の優れた読みがあってこその部分も多いが、我々が「見て脳裏に焼き付け」て実戦に活かすのなら、この局のホンイツ移行のような、堀の「手牌に価値を見出す」打ち筋がいいのではないだろうか。
あなたは誰を思い浮かべただろうか?