均衡が生み出す7度の流局
揺れる振り子が示した勝者は
文・東川亮【木曜担当ライター】2023年4月20日
朝日新聞Mリーグ2022-23セミファイナル、4月20日の第2試合。
出場メンバーからは、チーム内のバランスを取る役割の選手が集まった印象を受けた。そして試合も、非常に拮抗した展開が続いた。
第2試合
東家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
南家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
西家:松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)
北家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電)
それは、決め手を欠いたのではなく
東1局、最初にテンパイしたのは松ヶ瀬。とはいえ役なしのカン待ち、場にはそれほどよい情報があるわけではないことからダマテンとした。ドラのを引いての3メンチャン変化などが理想的か。松ヶ瀬はこういうところでラフなリーチを打つタイプの打ち手ではない。
親の仲林が追いつく。ポンに続いてポン、こちらがダブトイトイの満貫という大物手。
白鳥は仲林から打たれたをポンもチーもできたが、ここはチーとしてポン材を残す。すぐに打たれればないて満貫テンパイ、こちらも勝負手に見えた。
だが、白鳥は瀬戸熊から打たれたをポンせず、オリを選択。直前につかんだ1枚切れのすら切ることを嫌がった形だ。ダブをポンしてドラまで切ってきた仲林の手が安いはずがない。万が一の放銃すら避けようという徹底した守備意識が見える。
結果は流局。ある意味で、この試合を象徴するような立ち上がりとなった。
東3局2本場では、親の松ヶ瀬が早々にをポン。
それを受けた瀬戸熊、まずまず勝負できそうな形だったが、生牌のを引くと、あっさりとターツを落とし、守備に回った。たしかに形こそすぐにまとまりそうだが打点は低く、不用意に攻めに出ることを嫌った形だ。
789の三色が見えそうな白鳥も、松ヶ瀬にマンズを絞る進行に。
松ヶ瀬はテンパイまではたどり着いたものの、やはりここも流局。
瀬戸熊が加点して迎えた東4局5本場では、仲林が2巡目の1シャンテンを取らず、のトイツ落としに向かう。のシャンポン待ちよりも、やドラそばからもう1メンツ作り、ピンフドラ赤の満貫クラスを狙おうという意図だろう。ジリジリした局面に決定打を求める柔軟な進行。
最終的にはのシャンポン待ちでのリーチとなったが、これは巡目がすでに中盤に差し掛かっているので致し方なし、といったところか。とは言えイーペーコー赤で打点は確保できているし、待ちも悪くはなさそう。
そこに瀬戸熊が追っかけリーチをぶつける。手の内はタンヤオピンフ三色ドラ3、ツモはもちろん、出アガリでも倍満スタートという超勝負手。決まれば試合の行く末が決まりかねない一撃となり得た。
しかし、これも決まらず流局。内容は違えど、この試合は実に7度の流局を数えた。ただ、その多くは各者が相手に対して警戒し、楽をさせないことによるものだった。甘い牌を打たない4者が生み出す均衡状態。これをいつ、誰が、どのように崩すのか。そして、どんな結末を迎えるのか。
崩れかけても保たれる均衡、そして全員集合へ
7回目の流局で迎えた南2局1本場は、仲林がドラ3赤赤内蔵のリーチをかけたが、白鳥がかわしきって仲林のチャンス手をつぶす。
次局、白鳥はつないだ親番で、配牌から4枚あったを初手から暗槓。他の形もそこそこまとまっており、ツモ番を増やして最速テンパイを目指す。
うまくリャンメンターツを伸ばして先制に成功。山にはそれほど多く残っていたわけではなかったが・・・
ラス牌をツモって4000は4200オール。これで白鳥がトップ目にたった。
これがこの試合13局目にして、最初の満貫以上のアガリ。ここから、流局続きだった試合が打ち合いへと転じていく。
南3局、親番の松ヶ瀬がわずか4巡でリーチをかけた。早いだけでなく待ちもと優秀、さらにピンフドラ赤で満貫以上の打点が確定している。
さすがに通っていないスジが多く、自身もテンパイとあらば、孤立のは打ち出されるしかなかった。
リーチピンフドラ赤裏の12000は、親番のない仲林には痛い。
だが、仲林もただでは終わらない。次局、序盤にカン待ちのテンパイが入るが、役なしドラ1では不服、テンパイを取らずに好形を求める。
時間はかかった。松ヶ瀬が仕掛けて先にテンパイを入れていた。それでも追いついたならば当然のリーチ。軽々に動かずしっかりと手を組んだ先に、