リーチ超人の後悔
身を焼くほどの痛みが
村上淳を更に強くする
【A卓】担当記者:後藤哲冶 2023年11月12日(日)
今年1年に渡って行われた最強戦予選で敗れた者のなかで行われる、敗者復活戦。
それが、最強戦ザ・リベンジ。
そして今年1年を振り返って、誰がこの『リベンジ』という言葉に相応しいかと問われた時。
一番多くの声が挙がるのは、この人なのではないだろうか。
村上淳。
今年の、6月18日のことだった。
村上の最強戦ファイナルへの道は、もうあと一歩もないところまで来ていたはずだった。
1人抜けの決勝卓。南場は自らのアガリで全員の親を蹴り、見事大き目のトップ目で迎えた、オーラス。
三倍満条件という、ほぼ条件として成立しないはずの点差。
だというのにも関わらず、東家に座っていた鈴木たろうの手は開かれた。
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こぼれ落ちた。まさにその表現が的確に村上の置かれた状況を表現していた。
今宵、あの日のリベンジを胸に村上は再びこの舞台にやってきた。
ファイナルへの切符は、自らの手で取り戻す。
最強戦ザ・リベンジ A卓
負けられないのは無論、村上だけではない。
内田みこと、安藤りな。
この2人は近代麻雀の読者アンケ―トで上位2名に入り、このリベンジへの出場権を掴み取った。
投票してもらったからには、勝たなければいけない。その想いは間違いなくあっただろう。
まずは、そんな内田が先制する。
東1局の親番、内田はここから打。ソーズ上の変化よりも即リーチを目指した形。
が重なっての一気通貫リーチがベストだが……
こうしておけば、カンでも即リーチに行きやすい。
前巡に切ったが活きている。
ここは内田がをツモって1000オールで先制。
東1局1本場
カンを引き入れて、のリーチを打ったのが、鈴木優。
鈴木優もまた、予選で悔しい負け方をした一人だった。
オーラスまで、決勝進出ラインにいたにも関わらず、跳満ツモ条件をクリアされての、敗退。
最強位への想いが強い優という打ち手が、このリベンジに並々ならぬ決意を抱いてきているのは想像に難くない。
このリーチを、ホンイツのテンパイが入った内田から捉える。
3900は4200のアガリ。
事件は、東2局に起きた。
優に凄まじい配牌が入った。ダブがトイツで、ドラが2枚。
他の数牌の形もかなり整っている。
赤の入っていないこの最強戦ルールに置いて、ダブドラドラの12000は十分決まり手になり得る。
優はから打ち出した。