ハートに火を付けて 逆転へ、高宮まりの静かに燃える闘牌【Mリーグ2024-25セミファイナル観戦記 4/22 第1試合】担当記者 #東川亮

ハートに火を付けて

逆転へ、高宮まりの静かに燃える闘牌

文・東川亮【火曜担当ライター】2025年4月22日

朝日新聞Mリーグ2024-25セミファイナルも折り返しを迎え、ファイナル進出を巡る争いも、構図がかなりハッキリとしてきた。

U-NEXT Pirates赤坂ドリブンズは、ファイナル進出当確と断言してもいいくらい。2チームからやや離されたセガサミーフェニックスも、ファイナル進出だけを考えるなら相当有利なポジションと言える。一方、マイナスをほぼ1チームで抱え込み、実質全勝条件という渋谷ABEMASの勝ち上がりは、現実的には厳しい。

ファイナルに進出できる、優勝の条件を残せるのは上位4チームのみ。その4つめの椅子を争う、TEAM雷電KONAMI麻雀格闘倶楽部の争いが、現状における最大の注目点なのは間違いないだろう。前日の結果でグッと差がつまり、4月22日の結果によっては雷電を逆転するところまで差は詰まった。

初戦を任されたのは高宮まり、逆襲への起爆剤となれるか。

第1試合
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:小林剛 (U-NEXT Pirates)
西家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
北家:竹内元太(セガサミーフェニックス)


麻雀の結果にはどうしても運の要素が絡む。
たとえば、東1局に浅見がアガった2巡目リーチの満貫ツモなどはほとんど技術介入要素のない、いわゆる「誰でもアガれる満貫」。


こういう手が入るかどうかはまさしく運だし、この後も浅見には手が入り続け、展開も利してそのままトップを獲得した。
ただ、彼女は決して爆運任せの気ままな麻雀を打っていたわけではない。それは後ほど紹介する。


さて、冒頭に挙げた高宮は、東1局に浅見の満貫を親かぶりし、なすすべなく4000点を失った。だが、東3局に逆襲の刃を振りかざす。
4巡目、愚形の多い形から【1ピン】トイツ落としでタンヤオへと手牌を寄せていくと、

徐々に形が整い、1シャンテンに。

巡目が進み、【6ソウ】を引いて打【8ピン】。カン【7ピン】に色気はあったが、それよりもドラを使い切ること、ポン材を残してテンパイを取れる形を優先する。

浅見の加カンが入った後に小林の先制リーチがかかるも、門前テンパイなら追っかけリーチ。決めていたのだろう、一切の迷いはない。

これが小林から一発で出て、8000のアガリに。高宮の気持ちの良い攻めが好結果につながった。

そして、面白い進行になったのが南3局。オーラスで浅見を逆転するために大きな手が欲しい局面、高宮は【6ソウ】をツモ切って孤立の【9マン】を残した。仕掛けも考慮してのジュンチャン三色を目指す進行だ。

構想通りに手が伸びて、ペン【7ソウ】チー、カン【2ソウ】チーでテンパイした。鳴いてのジュンチャン三色は出アガリ3900、ツモなら1000-2000は、ツモか直撃なら逆転トップに満貫条件を残せる。

一方、浅見はこの時点で既にテンパイしていた。しかも、タンヤオ三色ドラ赤赤のハネ満と、強烈なダマテンである。そこに、【7ピン】を引いてきた。


浅見は【4ピン】を切って三色からイーペーコーに形を変えた。1翻減ってハネ満から満貫へ、一見すると打点を下げるだけの選択に見えるが、もちろん理由はある。

高宮のチャンタ系っぽい仕掛けもあっただろうが、浅見がそれ以上に警戒したのは、異様な捨て牌の元太だ。序盤からドラ色のマンズをバラ切りして【白】をポン、2枚切れの【南】の後に【1ピン】【9ピン】と手出しで、ホンイツも十分に考えられる捨て牌。

もちろんピンズは切りたくないが自身の手の価値もめちゃくちゃ高く、どちらを勝負するかとなったときに、最終手出し【9ピン】のそばの【7ピン】が固まっているケースを考え、鳴かれるパターンが少ない【4ピン】を選んだ、ということだった。

【4ピン】【7ピン】は形的にどちらでも鳴かれていたが、リードしているからこその打点に溺れない、丁寧な打ち回し。なお余談ではあるが、この局の元太の手に字一色を期待した人も多かったと思う。

だが、次巡の浅見のツモは【8マン】。巡目もまだ残っていてアガリも期待でき、【8マン】【7マン】のワンチャンス、これくらいは切ってしまう。

高宮にとっては僥倖の3900直撃。これで、浅見と6600点差でオーラスを迎えることとなった。

6600点差は、1300-2600ツモでは浅見に100点届かず、この局の高宮は満貫ベースで手を作ることが本線となる。となったとき、このカン【3マン】待ちでリーチをできるか、していいのか。リーチドラ1だとツモか直撃に一発か裏の1翻が必要だ。

それでもリーチをかけそうな打ち手もいそうだが、高宮はテンパイを外した。この手はピンフイーペーコーなど手役がつく変化をまだ残している。満貫にまですれば、アガれさえすれば無条件でトップ、巡目もまだ残されていることを踏まえ、より確実な逆転手を狙う。

自身で切っている【4ソウ】を引き戻し、ソーズが良形に変化。

たどり着いたのは、【2ソウ】【5ソウ】【8ソウ】待ちテンパイ。自身で【2ソウ】を切っていてフリテンだが、元よりツモ狙いの手組みであり、裏ドラも一番乗りやすい形。だったらリーチだ。

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