「きてるなってかんじ」謙虚な救世主・渡辺太のラッキーターン【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/18 第2試合】担当記者 カイエ

南3局

前局、柴田がリーチ・ツモの500-1000をアガり、女性陣は元気がない。
迎えたラス前は、ようやく亜樹が好配牌から先制リーチ。

この半荘、東1局2局の先制テンパイ以来、見せ場がない亜樹。それでも持ち前の安定した守備力で、この点差で耐えている。【3ピン】【6ピン】待ちは7山だ。

上の着順を見るために、何としても親権を維持したい高宮も決死の仕掛け。【南】のみで3つ仕掛けて、ドラの【2マン】も勝負。

山に5対6となった捲り合いも、

高宮が【6ピン】を掴んで亜樹のアガリ。
リーチ・ピンフ・ドラで3900。3着目に浮上してオーラスの親を迎える。

この半荘、リーチが成功し、かつ裏を乗せたのが、東2局の柴田の効果的なハネ満ツモのみ。決定的な点差が開いていないのは、このあたりの妙もあった。

 

南4局

まずは点棒状況と条件を確認しておこう。
トップ目の太と柴田の差はわずかに2200点。
一方、高宮の条件は倍満ツモでトップ。ハネ満ツモでも3着までとなれば、優先するのはラス回避となる、亜樹との4200点差だ。1000・2000ツモからが現実的な狙いどころか。

その高宮、一枚目の【白】から敢然と仕掛ける。
対子の【西】はオタ風。ドラも【中】で、現状、【白】・赤では2000点~2600点しかなく、1翻足りない。

【9マン】を重ね、

【赤5ソウ】切り!
これで構想がはっきりした。トイトイだ。

さらに【3ピン】を重ねると、手牌は対子オンリーに。

すぐに【8ピン】も鳴けて、1枚切れの【3ピン】をリリース。
トイトイのイーシャンテンだ。

対する親の亜樹。
一気通貫が完成する【2マン】ツモ。
ちなみにこの日は、仙台で「一気通貫ツアー」が行われている。

さて、何切る候補は【7マン】【1ソウ】あたりだろうか。

【7マン】切りはテンパイの受け入れ24枚。
【1ソウ】切りは19枚。
平面の受け入れだけなら、一通の形を確定させる【7マン】が優るが、愚形カン【2ソウ】が残る不満もある。鳴いての1500点にはあまり価値のない局面で、できればリーチして点数を稼ぎたいところ。
さらに実際には、目下のライバル高宮が【8ピン】をポンしており、【5ピン】【8ピン】の最終形が強いとも限らない。

亜樹の選択は打【1ソウ】
柔らかく受け、マンズ部分の二次変化も視野に入れる。

しかし、無情にも次のツモは【2ソウ】。単騎のテンパイながら、これを逃すかたちとなった。
そして、これ以降、亜樹の手にテンパイする牌は来なかった。

高宮、【4ソウ】が柴田から鳴けてテンパイ。【9マン】【西】のシャンポン待ちは山に3枚。
実に、トイトイの構想が秀逸だった。

高宮の思い切りの良さやアガりへの嗅覚は独特なものがあり、それが長くMリーガーたらしめる存在証明にもなっている。

カン!

もう一個、カン!

ラス目で一回でも多くツモりたい高宮が立て続けにふたつのカンを入れる。
これで符がハネて、出あがり6400点に進化。
【白】もまだ1枚あり、Mリーグ初の三槓子も無いわけではないが…

トップ条件を充分に満たすダマテンを入れていた柴田が、無念、【西】を掴んでしまう。
高宮には満貫までなら打っても2着キープのため、止める牌ではない。

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