God only knows,but ……
(ゼウスだけが知っている、けれど……)
文・渡邉浩史郎【月曜担当ライター】2025年11月24日
今更語るまでもない。鈴木たろうの強さなんて。
Mリーグの開幕から今日に至るまで、常識外れの勝ち方で人々を魅了してきた鈴木たろう。
団体の話をするのであれば、協会では当然のレジェンドであるし、移籍した最高位戦ではついに今年最高タイトルである最高位決定戦に手をかけた。
そんなたろうでも勝てない時は勝てない、麻雀の恐ろしさがこの半荘に詰まっていた。
第2試合
東家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
南家:内川幸太郎(EX風林火山)
西家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:HIRO柴田(EARTH JETS)
開局、メンピンドラの親リーチは安目だけど高めの
ツモ。
4000オールでの好スタートとなる。
「不運は底を打ったか?」
そんな空気が流れる中、たろうは全く緩めない。
【東3局】、わずか2巡でのイーペーコー赤ドラの5200聴牌。
が自身の役牌ということもあり、シャンポン変化も強い。このままでもツモってマンガンのためダマテンに構える。
を引いて小考するがツモ切りとなる。
親の伊達と内川の仕掛けを受け、柴田はピンズのホンイツ模様。前巡にドラの
が切られているため、今ならマンズのホンイツにわたるもあるかと思われたが。ここはおとなしくした。
そして引いてきたのは望外の
。柴田もピンズの仕掛けを入れてきたため、今なら絶対にツモ切ってくれそうな![]()
両面マンガン。これをたろうは……
「リーチ」
そう宣言して、牌を横に曲げた。
親の仕掛けにターツ落としも見え、そこまで和了りやすい待ちでもないなら決めに行こうというたろうの判断。
誰もが間違いなく感じたはずだ。
「たろうが実力で、不運の底を打ってねじ伏せてきた」
暫定2着目の伊達に親被らせての跳満。
東場とは言え決定打なのだ。普通は。
周りもさるもの、伊達が次局マンガンをツモるが、こうなればなるほど先ほどの手を跳満にしたリードが重くなってくる。
最高神ゼウスの異名を冠する男、神のみぞ知るこの卓上の世界を掌握しているかに思われたが……
ここから暗雲が立ち込める。
【南1局】親番。配牌からの![]()
対子が動かないままイーシャンテン。打点のために残したドラもきな臭くなってきたこの巡目……
伊達が七対子のイーシャンテンだが、本筋は鳴いてのトイトイや四暗刻と見て生牌で赤がある
よりも二人の現物である
を残した。
―――この瞬間、歯車がかみ合う。
柴田がなんとドラを重ねて聴牌。タンヤオ七対子の
単騎に受ける。ここで打たれた
を……
伊達がポンして打
。河に並んでいる牌の順番を見てほしい。この並びが後か先かに情緒が宿っている。















