10月3日(月)から、いよいよMリーグ2022-23シーズンが開幕する。過去4シーズン、さまざまなドラマを生んできたMリーグにおいて、今シーズンはどのような闘牌が繰り広げられるのだろうか。シーズン開幕を前に、まずは見どころや抑えるべきポイントなどをチェックしておきたい。
レギュレーションの変化
今シーズンのMリーグでレギュレーションが変わった点として、各チームの試合数の増加がある。昨シーズンとの比較はこちら。
レギュラーシーズン:90試合→94試合
セミファイナル:16試合→20試合
ファイナル:12試合→16試合
総試合数(ファイナル出場チーム):118試合→130試合
試合数が増えたことによって、特にポストシーズンの戦い方などは、各チーム微調整が必要になってくるところもあるかもしれない。ただ、何よりも大きいのは、ファンがより長くMリーグを楽しめるようになった、ということだ。今シーズンは、見応えのある試合がより多く見られることを期待したい。なお、選手枠についても変更があり、昨シーズンまでは「最低3名、最大4名」だったのが、今シーズンから1チーム4名で構成することがルール化されている。
2度目の優勝チームは出るか
過去4シーズン、Mリーグでは毎年違うチームが優勝してきた。
2018-19シーズン:赤坂ドリブンズ
2019-20シーズン:U-NEXT Pirates
2020-21シーズン:EX風林火山
2021-22:KADOKAWAサクラナイツ
8チームのうち半分が優勝を経験している中で、残る4チームにとっては悲願の初優勝を狙うシーズンとなる。また、優勝経験のある4チームにとっても、リーグ初となる2度目の優勝という栄誉が懸かる。特に、昨シーズンで優勝したKADOKAWAサクラナイツは、初の連覇という偉業を目指せる唯一のチームであり、モチベーションも高い。
選手入れ替え規定の可能性があるのは
Mリーグでは、同一の選手構成のチームが2シーズン連続でファイナルに進出できなかった場合、最低1名の選手を入れ替えるという規定が設けられている。昨シーズンはU-NEXT Piratesがこの規定に抵触し、2名の選手入れ替えを行った。今シーズン、規定に該当する可能性があるのは、以下の3チーム。
◯EX風林火山:二階堂亜樹・勝又健志・松ヶ瀬隆弥・二階堂瑠美
◯赤坂ドリブンズ:園田賢・村上淳・鈴木たろう・丸山奏子
◯TEAM雷電:萩原聖人・瀬戸熊直樹・黒沢咲・本田朋広
この3チームに関しては、ファイナル進出を逃すことは現体制の終了を意味する。ファンとしては絶対に避けたい事態ではあるが、生き残りを懸けた争いも、間違いなく見どころの一つ。今シーズンの終盤戦は、さまざまな思惑が絡む、極限状態の戦いが見られるかもしれない。
活躍が期待される新加入選手
今シーズンでは、新たに3名の麻雀プロがMリーガーとしてデビューを果たす。
渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
鈴木優(U-NEXT Pirates)
仲林圭(U-NEXT Pirates)
渋川は「雀王(日本プロ麻雀協会)」、鈴木優は「最高位(最高位戦日本プロ麻雀協会)」と、いずれも自団体の最高タイトルを獲得した、団体最強の打ち手としての参戦。また、仲林も最高位戦日本プロ麻雀協会のビッグタイトル「發王位」を獲得している。いずれも高い雀力を裏付ける実績の持ち主であり、Mリーグでも活躍が大いに期待される3名だ。そして彼らはいずれも、Mリーグ入りを渇望していた選手たちでもある。待ちに待った、夢に描いた舞台での、彼らの躍進に期待がかかる。
役満は何回出るのか?
麻雀の華・役満。過去4シーズン、Mリーグで出現した役満は合計16回(四暗刻10回、大三元4回、国士無双2回)。ただ、2018-19シーズンは8回も役満が出たのに対し、2021-22シーズンは佐々木寿人の四暗刻ツモ1回だけだった。役満の出現頻度は単純計算でおよそ0.096パーセント(※)、およそ1000局に1回の計算だが、それでも昨シーズンの総局数に比べれば明らかに少ない。今シーズンは昨シーズンの反動で、たくさんの役満が見られることになるかもしれない。
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※参考:「麻雀手役大全」(ZERO/沖中祐也)
神域リーグの監督たちに注目
Mリーグのオフシーズンに行われた、オンライン麻雀「雀魂」を用いて行われた「神域Streamerリーグ」。Mリーガー4名が監督となり、ドラフトで選抜されたVTuberをチームメートとして戦うリーグ戦で、全10節30試合の中では数々の名勝負が繰り広げられた。これまでMリーグに興味がなくとも、「神域Streamerリーグ」から麻雀プロの存在を知ったVTuberファンの方も多いだろう。
「神域Streamerリーグ」の監督を務めたMリーガーは、渋谷ABEMAS・赤坂ドリブンズに在籍している。
◯渋谷ABEMAS
多井隆晴(チームアキレス)
松本吉弘(チームヘラクレス)
◯赤坂ドリブンズ
村上淳(チームアトラス)
鈴木たろう(チームゼウス)
「神域Streamerリーグ」に参加した中でMリーグの同時視聴を予定しているVTuberもいるとのことで、一緒になって選手を応援することで、また新しい麻雀の楽しみ方が生まれそうだ。
年を追うごとにファン数、視聴者数が増え、スポンサー企業もリーグ・チーム共に増加の一途をたどるなど、Mリーグの熱は間違いなく高まりを見せている。そうした期待に応える、選手たちのさらなる熱い闘牌を、今シーズンも期待したい。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。