【目次】
副露とは? / 鳴き(チー、ポン)
「副露(フーロ)」は「鳴き」の正式名称です。麻雀の「鳴き」とは、他家の捨て牌を利用して面子を作る行為をさします。鳴きは「チー」と「ポン」の2種類があります。
「鳴く」のほかに、「食う」「晒す」「叩く」といった表現をしたりします。「副露」よりも、「鳴き」や「鳴く」と呼ぶことが多いです。
「カン(同一牌4枚を揃える)」も鳴きの一種ですが、仕組みが少々複雑です。他家の捨て牌で作る「明槓(ミンカン)」は鳴き扱いになりますが、自分の手牌のみで作る「暗槓(アンカン)」は鳴き扱いにはなりません。「カン」については別記事で詳しく解説します。
チーとは?上家の捨て牌で順子を作ること
チーは、上家(左隣りに座っている人)の捨て牌で順子を作る行為です。
■上家からしか鳴けない
■順子(同じ種類の数牌を数の順に揃える)のみ作れる
■鳴いた牌を他家にさらす
チーの手順
- 上家がチーしたい牌を捨てた
例: - 「チー」と発声する
- 鳴きたい2枚を相手に見せる
例: - 上家が捨てた牌を持ってきて順子を作り、図のように鳴いた牌を横にして右隅にさらす
- 1枚捨てる
チーをしたら、下記図のように自分の右側に並べて(表向きにして)置いてください。チーをした牌は左端に、かつ横向きにします。これは左の人(上家)の捨て牌で鳴いたという提示になります。
例:手牌にがあり、上家が捨てたをチーした場合
ポンとは?他家の捨て牌で刻子を作ること
ポンは、他家が捨てた牌で刻子を作る行為です。
■ポンは誰からでも鳴ける
■刻子(3枚同じ種類の牌を揃える)のみ作れる
■鳴いた牌を他家にさらす
ポンをして作った刻子は「明刻(ミンコ)/ 明刻子(ミンコーツ)」と呼びます。鳴いた牌を他家にさらす=手牌を明らかにする刻子なので「明刻」、と解釈すると覚えやすいかと思います。
ポンをせずに配牌やツモで作った刻子は「暗刻(アンコ)/ 暗刻子(アンコーツ)」と呼びます。
チーをした順子は「明順(ミンシュン)/ 明順子(ミンシュンツ)」、チーしない手牌の中にある順子を「暗順(アンシュン)/ 暗順子(アンシュンツ)」と呼びますが、こちらの名称はあまり使われません。
ポンの手順
- 相手がポンしたい牌を捨てた
例: - 「ポン」と発声する
- 鳴きたい2枚を相手に見せる
例: - 相手が捨てた牌を持ってきて刻子を作り、相手の方向を横にして右の隅にさらす
- 1枚捨てる
ポンをしたときの牌の向き
ポンをしたら、チーと同じように自分の右側に牌を並べて(表向きにして)置きます。誰からポンをしたかによって、牌の置く向きが変わります。
下家(右の人)からポン | ポンをした牌を右端に横向きにして置く |
---|---|
対門(向かいの人)からポン | ポンをした牌を真ん中に横向きにして置く |
上家(左の人)からポン | ポンをした牌を左端に横向きにして置く |
※牌を横向きにする際に、牌の頭が右向きか左向きかは特に決まりはありません。上記画像では牌の頭を左向きにして倒していますが、頭は左向きでも、右向きでもOKです。
チーとポンはどちらが優先される?
同じ捨て牌にポンとチーがカブった場合は、ポンが優先となります。同時発声の場合はポンが優先されますが、基本的に鳴きは発声が優先されるので、チーの発声が早かった場合はチーを優先するのが一般的なマナーです。
ただし、相手のチーを阻止するための「邪魔ポン」はマナー違反とされることがあるので注意しましょう。邪魔ポンはルール違反ではないですし、戦略として使うこともありますが、やり過ぎると嫌がられる可能性も…。 邪魔する意図がなく、うっかりしていてポンの声がつい遅れてしまった場合でも、明らかにチーが早い場合は何も言わずスルーするのがマナーです。
鳴きとメンゼンの違い
ポンやチーをすることを「鳴く」と呼び、鳴いていない状態を「門前(メンゼン)/ 門前清(メンゼンチン)」と呼びます。鳴きとメンゼンでは何が異なり、どうゲームに影響するのでしょうか?
役の「門前ツモ」と鳴き/メンゼンの関係
役のひとつに、「門前清自摸和(メンゼンチンツモホー)」というものがあります。主に「ツモ」や「門前ツモ」と略して呼ばれる役です。
麻雀用語で「ツモ」は以下のように複数の意味があります。「山から牌を取る行為(とその行為がもたらす結果)」を指す言葉と考えるとわかりやすいでしょう。
- 1:山から牌を取る行為(「ツモる」と表現する)
- 2:ツモアガリ(自分でアガリ牌を引く)を指す
- 3:門前清自摸和(ツモ/門前ツモ)という役名の略
ここでは「役のツモ(門前ツモ)」と「メンゼン」の関係について解説します。
「門前ツモ」の役の成立には2つ条件があります。1つは「ツモアガリ(自身のツモによってアガる)」であること。もう1つは、「メンゼンでテンパイする」=「鳴いていない」ことです。チーやポンで鳴くと「門前ツモ」という役は成立しません。
- 1:門前でテンパイする(鳴いていない)
- 2:自身のツモによってアガる
「門前清自摸和」という役は、「門前清(メンゼン)」+「自摸和(ツモ)」で分けると理解しやすいです。つまり「門前清自摸和」という役名は、「メンゼン」=「鳴いていない状態」、かつ「ツモ」=「自分でアガリ牌を引く」という条件を表しています。
要するに、ポンやチーで鳴いてしまうとメンゼンではなくなるため、「門前ツモ」という役を作れなくなるわけです。
※「門前ツモ」と相性の良い役や作る際の注意は以下の記事にまとめています。
ここでテンパイについても解説しておきましょう。
テンパイはアガリまであと1枚の状態です。注意したいのは、「リーチ(立直)」とは異なるということ。
「リーチ」は役のひとつで、「リーチと宣言する」こと、「テンパイしている」こと、「メンゼンである」ことなどが条件です。チーやポンで鳴いていてもテンパイの形は作れるので、必ずしもテンパイ=リーチというわけではありません。
つまり、チーやポンで鳴くとメンゼンが崩れるので、リーチをかけられなくなるわけです。
このように、鳴きかメンゼンかで作れる役が違ってきます。鳴いてしまうと「門前ツモ」や「リーチ」という役が作れなくなるので、ポンやチーをする前に狙う役を考えておきましょう。
メンゼンも麻雀でよく使う言葉なので、この機会にぜひ覚えてくださいね。
鳴いても(ポンやチー)をしても作れる役
解説したように、ポンやチーで鳴くとメンゼンではなくなるので、「門前ツモ」や「リーチ」といった役を作れなくなります。他にも「平和(ピンフ)」や「一盃口(イーペーコー)」といった役もメンゼンが条件なので、鳴くと成立しません。役満の「国士無双」もメンゼンが条件です。
一方で、鳴いても成立する役や、飜数が下がるが鳴いてもOKの役もあります。たとえば、同じ数字の順子を3種類の数牌で作ると成立する「三色同順(サンショク)」は鳴いても成立しますが、鳴くと2翻から1翻に下がり、アガったときの点数が少なくなります。
麻雀を始めたばかりのころは、役ごとの「鳴きOK」か「鳴き不可」かがわからず、どう役を作ればいいか悩むことでしょう。これは打ちながら覚えていくしかないのですが、最初は「役名一覧表」などを見ながら、「鳴きOK」か「鳴き不可」を確認しながら役を作っていきましょう。
以下に「鳴きOKの役」と「鳴きOKだが鳴くと飜数が下がる役」を一覧にしました。意外と鳴きOKの役は多いですね。各役名はリンクになっていて、クリックすると詳しい成立条件や注意点を確認できます。
鳴きOKの役
役名 | 飜数 |
---|---|
断么九(タンヤオ) | 1翻 |
役牌(ヤクハイ) | 1翻 |
槍槓(チャンカン) | 1翻 |
嶺上開花(リンシャンカイホウ) | 1翻 |
海底摸月(ハイテイ) | 1翻 |
河底撈魚(ホウテイ) | 1翻 |
対々和(トイトイ) | 2翻 |
三暗刻(サンアンコウ) | 2翻 |
三色同刻(サンショクドウコウ) | 2翻 |
混老頭(ホンロウトウ) | 2翻 |
小三元(ショウサンゲン) | 2翻 |
三槓子(サンカンツ) | 2翻 |
大三元(ダイサンゲン) | 役満 |
大四喜(ダイスーシー) | 役満 |
小四喜(ショウスーシー) | 役満 |
字一色(ツーイーソー) | 役満 |
緑一色(リューイーソー) | 役満 |
四槓子(スーカンツ) | 役満 |
清老頭(チンロウトウ) | 役満 |
断么九(タンヤオ)を鳴いて作ることを「喰いタン」と呼びます。「喰いタン」はルールによって採用/不採用が分かれるので、「喰いタンあり」か事前に確認しておきましょう。
他にも「後付け」=「最初のチーやポンでは役がないが、後から役が確定する鳴き方」がアリ/ナシかもルールによって異なります。喰いタンあり、後付けありのルールについては、こちらの記事で詳しく書いています。
鳴きOKだが、鳴くと飜数が下がる役
役名 | 飜数 |
---|---|
三色同順(サンショク) | 2翻→1翻 |
一気通貫(イッツウ) | 2翻→1翻 |
混全帯么九(チャンタ) | 3翻→2翻 |
混一色(ホンイツ) | 3翻→2翻 |
純全帯么九(ジュンチャン) | 3翻→2翻 |
清一色(チンイツ) | 6翻→5翻 |
各役の成立条件や、「鳴きOk」か「鳴き不可」かは以下の記事で一覧で確認できます。役の成立条件を覚えるまでは、以下の役名一覧を見ながら打つことをおすすめします。
麻雀の点数計算の方法については以下の記事で解説しています。