【目次】
三暗刻(サンアンコウ)とは
三暗刻(サンアンコウ)は、暗刻を3つ揃えると成立する役で、2翻役のなかでも比較的難易度が高く出現頻度の低い役です。形自体は難しくなく簡単に覚えられますが、どちらかというと狙いにくい部類の役です。
喰い下がり(鳴いてアガると役の翻数が下がること)しない役なので、門前でも鳴いても2翻ですが、「暗刻」が条件なので、鳴き方にはかなり制限があります。
刻子系の役とは複合しやすく、特に対々和(トイトイ)との複合形はよく見られます。逆に、手牌のなかの3面子が刻子となるので、順子系の役とは相性が悪いです。
三暗刻(サンアンコウ)が成立する条件
三暗刻は、手のなかで暗刻(ポンせずに同じ数字を3枚揃える)を3つ作ると成立する役です。暗刻が条件ですが、役自体は門前でなくとも成立します。
三暗刻(サンアンコウ)
- 暗刻を3つ揃える
- 門前でなくてもOK
三暗刻=暗刻を3つ揃える
アガリ
成立する例
三暗刻は、暗刻を作ることが条件の2翻役ですが、門前でなくとも成立するので、暗刻部分以外でならどのように鳴いても問題ありません。
アガリ
また、暗刻部分については、ポンによって揃えた明刻が含まれる場合や、既に揃っていた暗刻から明槓してしまった場合は不成立となりますが、暗槓は含まれていても成立します。
暗槓 アガリ
不成立となる例
三暗刻は、3つ暗刻を作ることが条件となりますので、暗刻が2つの状態でシャンポン待ちのテンパイをした場合、ツモアガリなら成立しますがロンアガリだと成立しません。このような状態を「ツモり三暗刻」と呼びます。
ロンアガリシャンポン待ちのロンアガリの場合、明刻扱いになるので暗刻は2つしかない
また、最終的な待ちが以下の例のようなタンキとリャンメンがくっついた変則三面張の形などの場合だと、不成立となることがありますので注意しましょう。
アガリなら三暗刻となるが、は役がなくアガれない
上位役:四暗刻(スーアンコウ)
四暗刻(スーアンコウ)は、三暗刻の上位役です。暗刻を手のなかで4つ揃えると成立する役満です。必然的にトイトイの形になりますが、役満なので基本的には複合しません。
アガリ
三暗刻(サンアンコウ)と相性の良い役
三暗刻は、役自体の難易度が比較的高く、狙って他の役と複合させることは難しいですが、刻子系の役とは相性が良いので可能であれば複合させられれば高打点も狙えます。
三暗刻(サンアンコウ)+ 対々和(トイトイ)
すべての面子を刻子で揃えると成立する対々和(トイトイ)は、三暗刻と最も相性の良い役のひとつです。暗刻を3つ揃えると4面子のうち3つは刻子となるので、あとひとつ刻子を作れば複合します。
アガリ
この三暗刻+トイトイの形を、門前でテンパイすると「ツモり四暗刻」と呼ばれる形となり、ツモだと四暗刻、ロンだと三暗刻+トイトイになります。
対々和(トイトイ)とは? 面子を刻子のみで揃えると成立する役
三暗刻(サンアンコウ)+ 役牌(ヤクハイ)
三元牌や風牌などの特定の牌を3枚揃えると成立する役牌(ヤクハイ)は、刻子を必要とする点で三暗刻と相性が良く、狙っていなくとも自然と複合することがあります。
アガリ
役牌(ヤクハイ)とは? 特定の字牌を3枚以上揃えると成立する役
三暗刻(サンアンコウ)+ 三色同刻(サンショクドウコウ)
非常に難易度が高いですが、同じ数字の刻子を3種類の数牌で作る三色同刻(サンショクドウコウ)をすべて鳴かずに揃えると三暗刻と複合します。
アガリ
三色同順(サンショク)とは? 同じ数字の順子を3種類の数牌で作ると成立する役
2パターンの三暗刻(サンアンコウ)
三暗刻は大きく分けて2パターンある。
パターンA:南家・5巡目・ドラ
ケースB:南家・5巡目・ドラ
ケースAのようにツモった場合に三暗刻が付く形と、ケースBのように既に暗刻が3つ内蔵されていて、出アガリでも三暗刻が付くケースだ。
ケースAのような「ツモリ三暗刻」はリーチに踏み切りやすい。なぜならリーチして相手の手牌を止めて自分のツモ番を増やす効果が、ツモリ三暗刻という役と相性がいいからだ。
では、ケースBのような内蔵三暗刻の場合はどうすれば良いのか?ケースBはダマテンに構える。出て6,400ツモって8,000の手牌はリーチした時の打点上昇幅が小さい上、ツモでのリャンメン変化・ツモでの四暗刻変化・ツモによる四暗刻タンキ変化が大きい。よってケースBのように3ハン以上あるペンチャンカンチャン待ちの内蔵三暗刻はダマテンが正解になる。ではリャンメンだとどうなるだろうか。
ケースC:南家・5巡目・ドラ
ケースCのように、3ハン・リャンメン・内蔵三暗刻の場合は、の切れ具合を必ずチェックする。いずれかが2枚切られていたら、薄い四暗刻を目指すよりもリーチによる加点を目指すことを考える。2ハンのケースも見ていこう。
ケースD:南家・5巡目・ドラ
ケースDはを切ってダマテンに構える。ケースDは考えることが多い。リーチを打つかどうかに加え、打たないなら何を切るのか、を切るならが出た時にアがるのか、はたまたが出たらポンをするのか、などをあらかじめ考えた上で選択するのだ。東場のフラットな点棒状況ならダマテンに構えて出たら自然に3,200をアガるのが良い。
しかしラス目のケースやが切れている場合はリーチやテンパイ外しも視野に入れる。このように内蔵三暗刻は通常の手牌よりもダマテンの選択の他にも見逃したりテンパイを取らなかったり、多くの選択肢が浮上してくる手役である。
三暗刻(サンアンコウ)を狙うべき手牌
次にツモリ三暗刻について解説する。ツモリ三暗刻は1つ暗刻ができたときに意識するのがコツだ。三暗刻とピンフ手は対極な手役に思われがちだが、実は紙一重の関係である。
ケースE:南家・5巡目・ドラ・ツモ
ケースEはを切る。というツモならと払っていってのピンフイーペーコー狙いとなるが、ツモときたらと切って、ピンズのイーペーコーや三暗刻、チートイツといったトイツ手を狙っていく。
全体の三暗刻の出現率は0.62%だが、ケースAの手牌からの三暗刻成就率は10.8%ある。この10.8%という数字は、最後までツモれる前提の計算なのでもう少し低くなると思われるが、全体の出現率が低いからといって無視できない数字だ。
ケースF:南家・5巡目・ドラ
ケースFはを切る。受け入れ最大は打・打である。しかし打としても先の2つの選択と比較して2枚しか受け入れは減らない。2枚のロスなら打点(三暗刻)の目を残したほうが有利である。打とした後に、もう1つトイツができたらチートイツのイーシャンテンになるのもいい。打ではなく打なのは安全度の差。ドラが2枚以上あるのなら受け入れ枚数を重視してを切る。
ケースG:ドラ
ケースGはを切る。瞬間的にはを切ってリャンメン固定した方が手の進む受け入れは広い。しかしを切ってトイツ固定すると完全イーシャンテンになりやすい。
例えばをツモった時に
①
ツモ
②
ツモ
打とトイツ固定した①は完全イーシャンテンになるのに対し、打とリャンメン固定した②はが遊び牌になってしまっている。
ケースGからトイツ固定するかリャンメン固定するかは、瞬間(2シャンテン)の受け入れを取るか、イーシャンテンを取るかの問題で一長一短なのだが、三暗刻の可能性の分、打が優れている。暗刻ができるとテンパネするのも有利だ。やではなく打なのは、危険度と赤受けの可能性を重視しての選択である。
2パターンの三暗刻、三暗刻を狙うべき手牌
『麻雀手役大全』 (近代麻雀戦術シリーズ)より
三暗刻(サンアンコウ)のまとめ
三暗刻は、ただでさえ揃えるのが簡単ではない暗刻を3つ揃えるのが条件という役であり、門前でなくとも良いとはいえ、肝心の暗刻部分を鳴くわけにもいかないので、難易度が高めで出現頻度も高くない役です。
ただ、手なりで進めた結果暗刻が2つ出来上がり、シャンポン形で立直(リーチ)といった状況は度々あり、そういった際に結果的に三暗刻が打点を押し上げてくれることもあります。
序盤から三暗刻を狙って手を進める、というのはお勧めしませんが、手のなかに暗刻が2つあるときなどに、シャンポン待ちにして三暗刻を意識してみるのは面白いかもしれません。
以下の記事で三暗刻をはじめ、役ごとの飜数を一覧でまとめています。