熱論!Mリーグ【Thu】
「少牌」「裏ドラ」の
存在を有名にする男…
我こそは滝沢和典
文・阿部柊太朗【木曜担当ライター】2018年11月22日
阿部「いつ見てもカッコいいなあ。」
実況「21人中、ただ一人裏ドラが乗っていないにも関わらず…。」
阿部「は?」
実況「個人成績は第5位。」
阿部「は???」
想像できるだろうか。
12半荘、143局。
裏ドラが一枚も乗らない姿を――。
開局、親番の滝沢はドラのカン待ちで先制リーチをかける。
13巡目だが、は山に2枚残り。
幸先よくツモ。
しかし裏ドラは乗らない。
連荘した親番、3巡目に鈴木たろうからリーチがかかる。
「このくらい許してよ」と切ったにロンの声。
リーチ、、赤….
裏。
8,000点の放銃。
南場の親番、鈴木たろうの先制リーチを受けるがドラドラで押し返したい手牌。
は既に2枚切れている。
素直に両面×2のイーシャンテンに取る打かと思われたが、滝沢の選択は打。
この時、も自分の目から5枚見え。
ならばと、のノーチャンスを利用して→と押し返すルート。
この選択がピタッとハマる。
たろうの当たり牌であったを使い切って、12,000点のアガり。
しかし裏ドラは見れない。
メンゼンのアガりじゃないから当然だろ?って
いや、この日の滝沢はこんなもんじゃなかった。
8巡目に先制のリーチ。
脳内はまさに!!の大合唱であろう。
出る、!
滝沢「ロン!ロン!その8sロン!さてさて裏ドラが…」
前原「その裏ドラ、見る資格なし。」
滝沢「なんだと!?」
前原「御無礼、頭ハネだ。」
仕上がっている滝沢クラス、メンゼンでリーチをかけて当たり牌が出ても裏ドラを見せてはもらえない。
3巡目に先制のリーチ。
待ち牌のは山に5枚残り。
そうなると考えることは一つであろう。
「乗るか?乗らないか?」
この手を2,600オールに仕上げればトップが大きく見えてくる。
牌の被りが無いピンフ系の手牌なら裏ドラの期待も高まる。
まぁ乗らないのだが。
裏ドラこそ乗らないものの、トップ目で南3局を迎える。
しかしここから
茅森「ロン、8,000。」
前原「ツモ、3,000・6,000」
と二人にまくられ3着でフィニッシュ。
さて、ここからが本題。
滝沢に裏ドラが乗っていないことは、果たしてツイてないと言えるのだろうか?
別の半荘、滝沢はこのテンパイをダマテンとして手変わりを待った。
この手に限らず、滝沢はダマテンを選択する傾向が多く見受けられる。
ダマテンの是非を問うわけではない。
宝くじは買わないと当たらないように、抽選を受けるためには選択が必要なのだ。
マリーアントワネットは晩年に
「裏ドラを乗せたいならリーチをかければいいじゃない」
と言い残したと伝えられている。
大事なのはツイているツイていないではなく、抽選を受けるか受けないかにある。
滝沢は変化を重視。今よりもより良い抽選を受けるために、今回の抽選は見送った。
結果はすぐにツモって500・1,000
即リーチを選択して、抽選を受けている人なら裏ドラが乗っていたかもしれない。
滝沢は、その未来を追うよりも
この未来を追った方が得だと判断したまでである。
アントワネット「裏ドラを乗せたいならリーチをかければいいじゃない」
タッキー「裏ドラを乗せたいわけじゃない。勝ちたいんです。」
ツイてないよね?と問われればその答えは間違いなくYesだ。
しかし、極上の滝沢手牌クッキングのレシピに、裏ドラは載っていないのかもしれない。
阿部柊太朗
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。オンライン麻雀「天鳳」の牌譜機能を駆使した超緻密な観戦記が話題に。ブレイク間近の若手プロ雀士。
(C)AbemaTV
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